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題名のない子守唄。 [映画]

雑誌「danchu」が出した『全部うまい店』というグルメ本を買いました。
取材してとりあげた、全国の美味い店が載っています。
なかなか、こだわりがあって面白い。
東京のラーメン屋で鶯谷の「遊」が載っていたり、九州の焼きそば屋で「想夫恋」が載っていたり。
なかなか、面白いです。

と、それはさておき。
今日も映画ネタです。

見逃しそうになっていた「題名のない子守唄」を観て参りました。
平日の夕方、帰り際に某上司に嫌味を言われながらも脱出、急いでシネスイッチ銀座へ。
銀座一丁目駅で降りて、松屋の裏のスタバでコーヒー買って、5分前に着席。完璧です。

で、その映画。

トルナトーレ監督の作風、がらっと変わりました。
前作「マレーナ」でもちょっと変化気味でしたが、それから6年、もう「ニューシネマパラダイス」
の面影はありません。
冒頭から、なにやら怪しげな秘密クラブのような、淫靡な場面が映し出されます。
そして、イタリアの街。サスペンス映画のように、どんどん謎かけのストーリーが展開していき
ます。
細かなストーリーの説明はない、とにかく話が進んでいく。
何故、主人公(らしき)女性はこの街へ来たのか?何故、とあるマンションの一室を覗ける
部屋を借りたのか、そしてそこに住む家族に近づこうとするのか…。
途中、フラッシュバックのように、彼女の過去らしき映像が流れます。
それは、きっと消し去りたい過去なんだろうな、と思わせるもの。
でも、その説明もありません。
そのうち、その家庭にお手伝いとして入りこみ、その子どもに特別の愛情を注ぎ…。

映画の冒頭、トルナトーレ監督の「最後にどんでん返しを用意しているので、結末を観ていない
人に話さないでください」というメッセージが流れます。
なので、あまり細かなことは書きませんが、とにかく切ない映画。
女性が観たら、私なんかとは全然違った印象を持つんだろうなぁ。ショッキングな話でもあるし。
あのトルナトーレ監督が作った映画なのに、青空がワンカットもないというのが、全てを物語って
いるように思います。どんより曇った、冬の空ばかり。
そして、象徴的に使われる螺旋階段。まるで、彼女の抜け出せない人生のよう。

でも、そこはトルナトーレ監督。最後は…。

観終わって、なんともいえない切なさと、そして、救いというか小さな希望を感じる映画です。

主人公のイレーナは、ウクライナ出身でイタリアへ移民としてやってきた女性ですが、これを演じ
ているのは、設定と同じくロシアはサンクトペテルブルク生まれの女優・クセニア=ラパポルト。

ほんと、この女優でなければこの映画は成立しなかったのでは?と思うほど、見事な演技です。
素晴らしい。あの緊張感、すごかったなぁ。
あ、オーディションで選ばれたという子役も良かったです。

そして、なにより良いのは、やはりモリコーネの音楽。
映画の構想段階から監督のトルナトーレと一緒になって作るらしく、もう、それは見事なもの。
イレーナが子どもに歌って聞かせる故郷の子守唄、これもオリジナルで作ったそうで、この
曲をモチーフにしたテーマ音楽も素敵です。サントラ、買わなきゃ。

トルナトーレ監督は、すでに次回作の準備に入っているとか。
モリコーネもかなりの高齢ですし、このコンビで早くたくさん作ってくれ、と願うばかりです。
(縁起でもないか)

ところで、トルナトーレ監督はヒッチコックの真似して、必ずどこかに出演しているらしいの
ですが、今回はどこに出ていたんだろうなぁ。


4分間のピアニスト。 [映画]

久しぶりに、休日の有楽町・銀座界隈に行って参りました。
いやー、変わりましたねぇ。イトシアでしたっけ?駅前に、いつの間にあんなもんが出来たの
でしょう。
あそこにはたしか有楽町シネマがあって、『ベルリン天使の詩』をそこで観た記憶があります。
一体、どこへ行っちゃったんだろう。
銀座の映画館は、大学の頃、小津安二郎の映画などを観に行っていましたからねぇ。
「並木座」とかね。みんな、なくなっちゃったなぁ。

で、観に行ってきたのは、『ベルリン天使の詩』と同じドイツ映画。
昨日、封切られたばっかりのようですね。

『4分間のピアニスト』。

ピアノに関して天才的な才能を持つのに、複雑な家庭環境から事件を起こし刑務所に
入っている少女と、その才能をなんとか開花させようとする老女性ピアノ教師の物語。
とにかく、この少女がブチキレまくり。ちょっとしたことで、もう大爆発。
それに対する老女性ピアノ教師は「私は、あなたの才能にしか興味はない」と言い放ち、
更生させることなんて全く眼中にないかのような態度をとります。
しかし、レッスンを重ねるうちに、次第に心が通い合い…なんて言うと、ありきたりの
ストーリーのようですが、そこはドイツ映画。一筋縄ではいきません。
最後は、コンクールに臨む場面なのですが、この終わり方はアメリカじゃこうはならない
だろうなぁ、としみじみ思わせます。
ナチスなどの話も織り交ぜてありますし。
ただ、ちょっと不必要に感情の爆発を描いているようにも思えます。
ちょっとうっとおしくなる場面がありました。そうじゃなく、もっと心の底を描く方法がある
んじゃないの?とね。
感情のぶつけ合いではなく、小さな心の交流の積み重ねなんかで描くとか。

でも、さすがはドイツのアカデミー賞をとった作品です。かなり高水準、良い映画でした。
是非。

で、シネスイッチ銀座で観たのですが、ひょいと横を見ると隣のスクリーンでは、な、なんと
私が一番好きなジュゼッペ=トルナトーレ監督の新作がぁぁぁ!
いかん、出来たとは聞いていましたが、もう上映していたとはチェックしてませんでした。
なんと、恥ずかしいミス。音楽も、もちろんエンニオ=モリコーネ。うわぁ。聴きてぇ。
来週来るぞ、と思ったら、なんと今週の金曜日までの上映。おいおい。どうすんのよ。
『題名のない子守唄』、どこかで引き続き上映してくれますよねぇ。


舞妓Haaaan!!! [映画]

先週から医者通いばっかり、です。
歯医者、眼科、そして整形外科。
ま、歯医者は詰めるだけだし眼科は目薬もらって終わりだから大したことはなかったのですが、
最後の整形外科は焦りました。
土曜日、部屋でテレビを観ていたら突然腰に激痛が。
かなり痛くて、普通に座っていられないのです。
これは困った。
マッサージに行ってみましたが、効果なし。逆効果の雰囲気もあります。
で、日曜日は湿布貼ってじっとして過ごし、偶然にも月曜日は有給休暇をもらっていたので朝イチ
で病院へ。
で結果は…。
まぁ、大したことはなさそうです。椎間板ヘルニアとか、そういうものだったら困るなぁ、と思いました
が、レントゲンの結果は問題ないようです。
ただ、腰椎にちょっとちいさなヒビのような影が見えるけど、まぁ問題なさそうとのこと。
何だったんだろうなぁ。痛みは、だいぶ弱まってきました。

で、せっかくの休みなので、映画の1本くらいは観ておきたいと行ってきたのは、こちら。

『舞妓Haaaan!!!』

言わずとしれた、宮藤官九郎さんの脚本です。
ストーリーはこんな感じ。

(goo映画より引用)
鬼塚公彦は東京の食品会社で働く平凡なサラリーマン。ただひとつ普通じゃないのは、修学旅行
で京都を訪れて以来、熱狂的な舞妓ファンだということ。そんな公彦に転機が訪れる。念願の京都
支社に転勤が決まったのだ!死に物狂いで仕事して、最高峰の壁「一見さんお断り」を強引に乗り
越え、やっとの思いでお茶屋デビュー!だがそこでお茶屋常連の野球選手・内藤と出会った公彦
は、内藤に異常な競争心を燃やし…?!
(引用ここまで)

とにかく、ハイテンションな展開が続きます。もう、目まぐるしいったらありゃしない。その中に、
細かなギャグが散りばめられていますから気が抜けません。
しかしまぁ、阿部サダヲさんの演技があっての映画。他の人では、誰も撮る気にはならないでしょう。
また、これに負けずにしっかり受け止めているのは堤真一さん。この方、二枚目を演じるよりも、
こういう少しコメディタッチの役の方が魅力あるように思います。
あ、それから、植木等さんがちらっと登場しますが、これが遺作となったのですね。

とにかく、観ないとわかりません。この面白さは。ストーリーなんて、あってないようなもの。
うわ、うわ、うわーと言っているうちに、どんどん話は進みます。
それも、かなりバカバカしい展開で。

ご興味のある方、是非。観て損はないですよ。絶対に。


眉山。 [映画]

しかし、何故、松岡大臣の葬儀に際する総理大臣の弔辞の代読が奥さんなのだろう。
相手は、家族ぐるみのお付き合いの友人なのか?
総理大臣として、なのだから、官房長官か誰か、いなかったのかなぁ。
しかし、お粗末な国会が続く…。

それはさておき。

私は、さだまさしのファンである。
世の中には、こう正直に言えない人たちがいて、彼らのことを「隠れさだ」と呼ぶようである。
しかし、決然と私は言おう。さだまさしのファンであると。

と、そんなに勢いつけて言うことではないですが、まぁ、昔から好きですね。
中学生の頃は、アルバムが出るのがすごく楽しみでしたし、コンサートにも必ず行っていました。
一番好きな歌は「距離(ディスタンス)」ですねぇ。

で、そのさだまさしさんの小説を原作とした映画、観て参りました。

「眉山」。

こんなお話です。

(goo映画より)
東京で働く咲子は、母の入院の知らせを受け、久しぶりに徳島に帰郷する。
母子家庭で育った咲子は、気が強く何でも一人で決めてしまう母に寂しさを感じていた。
咲子は医師、寺澤から母が献体を希望していることを知り、いらだちは募る。ある日、母の友人
から箱を手渡される。
中には、死んだと聞かされていた父から毎年届いていた手紙の束が入っていた。
隠された母の恋を知った咲子は、東京に戻り、両親の思い出の場所を訪ね歩き…。

さだまさし原作の同名の小説を、『ジョゼと虎と魚たち』の犬童一心監督が映画化。
さだが長年来見つめ、楽曲や小説で描いて来た、故郷への思い、親子の絆という、人間の普遍的
なテーマが本作も根底に流れている。
そして、眉山と言えば徳島、徳島と言えば、毎年8月に行われる阿波踊り。
本作では地元から14200人ものエキストラが集合し、阿波踊りシーンを再現。本物さながらの熱気
をスクリーンで体感することが出来る。
出演は、松嶋菜々子、大沢たかお、宮本信子ほか。
本作が10年ぶりの映画出演となる宮本信子は、文楽を愛する気丈な江戸の女を凛とした表情で
演じきっている。
レミオロメンが歌う主題歌が、作品に余韻を残す。

(引用ここまで)

いやー、泣かせる映画です。ぐっとこらえましたが、ラストの盛り上がりに向けて、さぁ泣け、さぁ泣け
と怒涛の攻撃?が繰り広げられます。
わかりきった結末だし、驚くような展開もないのだけれど、心に染みるのよ。
また、役者が良い。主役たちも良いですが、私は特に夏八木勲さんが良かった。
表情とセリフ、見事に気持ちが伝わってきます。
ただ、松嶋菜々子さんは、ちょっと美人過ぎて浮いていたような印象。
溶け込めないんですよね。現実離れし過ぎちゃって。そんな感じでした。

たけしが「最近は泣かせるような映画ばっかりだ」と日本映画界を批判したようですが、
いいじゃないですか。泣きたいときもあるのよ。

泣きたい方、是非。


東京タワー(その2) [映画]

金曜日の夜、遅くまで騒いでしまい、タクシー帰り。
いやはや、予想外の展開でした。>あまさん、師匠、いのじさん。

で、その翌日の土曜日、映画を観て来ました。
気になっていた「東京タワー」。

テレビのスペシャル版と連続モノのドラマ、そして映画と3回目の映像化作品です。
で、その映画の感想は…。
いやー、良かった。妙に原作にとらわれて窮屈になることもなく、見事な展開。
監督の松岡錠司さん、さすがです。
この人の映画は「バタアシ金魚」「私たちが好きだったこと」などいくつか観ていますが、
好きなんですよねぇ。画面に、独特の透明感があります。
あの独特の小説の世界を、素敵な雰囲気で描いてくれました。
小説のパワーが強いですからね。脚本の松尾スズキさんも苦労したんだろうなぁ。

あの物語から感じるのは、故郷との距離です。
私のように、故郷を離れ東京で暮らしていると、それは身に染みて感じます。歳とともに。
あの主人公は、母親を東京へ連れて来たことで、故郷も失ったんです。
いや、正確には、故郷が母親で、それが東京へやってきた、と言うべきか…。
故郷は場所ではないんだ、親のいる所なんだということをしみじみと感じさせてくれる
お話です。
リリー・フランキーは、卑怯なくらい巧く、さりげなく、その気持ちを描きます。
親のことが大事とか、そういう感覚とはちょっと違う、親への気持ちですね。
なんだろうなぁ。

故郷は、不思議なところです。


蟲師。 [映画]

連休も残すところあと2日、映画も1本くらいは観ておきたいと行ってきたのはこちら。
「蟲師」。

『goo映画』によると、解説はこんな感じです。
「100年前の日本では、ある日突然、耳が聞こえなくなったり、角が生えたりする奇妙な現象が
起きる事があった。人々はそれを、目には見えない“蟲”の仕業と噂した。そして、その蟲の姿が
見え、封じることが出来る者を蟲師と呼んだ。蟲師・ギンコは、筆で書いた文字で蟲を封じる足の
悪い美しい娘、淡幽に会うため長い旅を続けていた。しかし、ある事件に巻き込まれ、ギンコ自身
が蟲に冒されてしまい…。
漆原由紀原作の同名のコミックを、『AKIRA』『スチーム・ボーイ』の漫画界の鬼才、大友克洋が
実写映画としてスクリーンに描いた。大友克洋というと、アニメ作品のイメージが強いが、本作は
実写ということもあり、現存されている本物の古い日本を映し出すことにこだわったという。ロケで
使われたのは、京都、滋賀、福井県など。もちろん、CGのセンスも言うまでもない。芸達者な役者
たちも存在感ある日本の美の中に違和感なく溶け込み、“大友克洋・不気味ワールド”を作り上げ
ている。主演は、『ゆれる』など、出演作が続いているオダギリジョーと、『フラガール』の蒼井優。
ほか江角マキコ、りりィなど。」

いえね、この「蟲師」、フジテレビで放送されていたアニメ版を観て、大好きになったのですよ。
日本独特の幽玄な世界、そしてアニミズム。ほんと、不思議で面白い世界です。
うまく説明できないんですよね、この魅力は。是非、DVDを借りて観てみてください。

で、肝心の映画。
うーん、まぁなかなか面白いんですけど、蟲師のテーマはちょっと伝えきれていませんね。
いえね、映画自体は、これはこれで面白いと思います。
でも、元の作品を知っていると、ちょっと物足りないっていうか、本質を伝えていないような気が
します。
映画は、蟲と人間の闘いを中心に描いています。
でも、原作の世界は、蟲と人間との「共生」がテーマです。蟲、つまり自然との共生。その視点が
ちょっと欠けていたように思います。残念。

でも、映画は映画として、とても面白いです。残すところ、東京では渋谷のシネアミューズのみ
での上映となっているようなので、ご興味のある方は、是非。

あ、出演者では、主演のオダギリジョーもいいですが、やはりドラマ「ハゲタカ」での好演が光る
大森南朋さんの演技が素晴らしい。この人、ますます目が離せませんね。


街の灯。 [映画]

今日はなんかむしょうに「すき焼き」が食べたくなり、夕食は「独りすき焼き」やっちゃいました。
はい、独りですが、何か?肉の取り合いもなく、気兼ねもなく、落ち着いて食べられます。
独り鍋も、慣れれば、まぁ、それなりに…。

で、今日は池袋へ行った際に、HMVへ行ってCDやらDVDやらを物色。
まず買ったのは、「ニューシネマパラダイス」限定版。
2枚組で、最初に上映された短い版と、オリジナルのロングバージョンのセット。
いえね、短い方はレーザーディスクとビデオ、オリジナルはDVDと中途半端に持っていたので、
えいやっと買っちゃいました。これがあれば、一生モノですから。

そんで、もう一枚買ったDVDは、ふと目に付いた「街の灯」。チャップリンの名作ですね。
ちらっと断片的に観たことはあったんですが、ちゃんと通して観たことはなかったので、目についた
のも何かの縁、買っちゃいました。

皆さんご存知でしょうが、簡単にストーリーを書きますと、チャップリン扮する浮浪者が街で花を売る
盲目の女性を知り、その女性を助けるためにお金を作ろうと奮闘します。
で、いろいろあってお金持ちからお金をもらい、それを女性に「目の治療費に」と渡します。
しかし、それを盗んだと勘違いされ、チャップリンは牢屋へ入れられてしまいます。
で、舞台はそのしばらく後に替わります。目が見えなかった女性は、今ではすっかり目が見える
ようになり、街で花屋をやっています。そこへ、牢屋を出て、以前にも増してボロボロの身なりに
なったチャップリンが現れます。何故か自分を見つめるこの浮浪者に、女性は花を一輪、あげよう
とします。その時、その手に触れた彼女は、それがあの自分を助けてくれた男性だと気づきます。
そんな彼女に、チャップリンはこう語りかけます。「目が見えるようになったんですね…」

ここで、映画は終わります。

はっきり言って、泣きます。うん。さすが、チャップリン。
なんで、今までちゃんと観ていなかったんだろう。
人間のやさしさ、残酷さ、信頼、裏切り、善意、悪意…。
そんなものが、彼なりの視点で描かれています。
でも、メッセージ性でいえば、「独裁者」や「モダンタイムス」の方が強いでしょうね。
この「街の灯」は、あえて淡々と描いているように思います。
いろんなものをそぎ落とし、そこから見えてくるものを探しているように感じました。
だからこそ、もう一度観ると、きっとまた違う印象を持つんだろうなぁ。

先日、NHKでチャップリンのドキュメンタリーを放送していましたが、あの自身の信念を曲げない
生き方、格好良いですね。
チャップリンのDVD、集めてみようかなぁ。


鉄コン筋クリート。 [映画]

えー、久しぶりに映画を観てきました。
前回観たのは、「木更津キャッツアイ」かな。
で、観てきたのは、これ。
「鉄コン筋クリート」。

アニメですね。原作は、「ピンポン」などで有名な松本大洋さん。
93年からビッグコミックスピリッツに連載されていまして、ずっと購読している私は、リアルタイム
で読んでいました。何故、今頃映画化?と少々不思議には思いましたが、なかなか不思議な物語
なので、映画化は楽しみ。

簡単なストーリーは、こんな感じ。(goo映画より)
『義理と人情とヤクザの町、宝町には2人の少年、クロとシロが住みついていた。親を知らない2人
は、かつあげやかっぱらいで、毎日を過ごしていた。ある日、昔なじみのヤクザ、ねずみが町に戻
って来る。何かが起ころうとしていると察したクロは、刑事の藤村、沢田に近づくが、確かな情報は
得られなかった。が、実はレジャーランドの建設と、町の開発の話が水面下で進んでいた。町を守
りたいクロは、狂気の行動に出るのだった…。』

かなり暴力シーンが多い映画です。まぁ、原作もそうですから、しょうがないんですけど、ね。
暴力に駆り立てられる「クロ」と、正反対に純粋な部分を持ち続ける「シロ」。
お互い、自分にない部分をお互いの中に見つけ、支えあって生きている。
「俺の街」とクロが言う宝町(ベタなネーミングですが、妙にしっくりときます)に、新興ヤクザが
乗り込んできます。それを排除しようとクロは闘い、シロは傷つき、ヤクザは入り乱れ…。
とまぁ、かなりシュールな感じの世界が描かれます。でも、松本大洋さんの原作らしい、やさしい
視点はずっと全体を包んでいます。
悪と善、クロとシロ…。かなり強烈なメッセージの表現の仕方ですので、好き嫌いがはっきりと
分かれる映画でしょうね。私は、かなり好きな部類です。

しかし、声優がすごい。
今をときめく若手実力派の二宮和也と蒼井優のお二人がクロとシロをやっています。
これが、ほんとに巧い。驚きました。松たか子さんといい、みんな器用ですねぇ。
その他、宮藤官九郎さんや本木雅弘さんなど、大物が多数出演しています。

お勧め、と簡単に言えないのがツライですが、私的には、かなり面白かった映画でした。


木更津キャッツアイ [映画]

金曜日の夜、職場の同僚たちと赤坂の「そばジロー」で飲んで、ちょっと酔い覚ましに向かい側に
あるアンナミラーズへ。はい、オジサンたちは、好きなんですよ、あの店。
ところが。
私が店内に入って、「5人です」と言って席を確保してもらっていたら、外の様子がおかしい。
手を横に振っている。ふと気づくと、たしかに店員が男ばっかし。
そりゃ、そうだけどさ。俺だけ店内に残して逃げるなよ、おい。
「すみません、やっぱ、いいです」と言い残し、私も外へ。あー、恥ずかしかった。
(仕返しに、その後行った店で、同じことをやり返しましたけどね)

で、今日は近所の「ユナイテッドシネマ豊島園」で映画、観てきました。
これは絶対に観なきゃ、と思っていた「木更津キャッツアイ・ワールドシリーズ」。にゃー。
はっきり言って、テレビシリーズを観たことのある方限定の映画です。

観てなきゃストーリーもわかんないし、登場人物の細かな説明もないから、関係もわかんない。
そんなことは放っておいて、キャッツファンのため、とにかく楽しい映画を作ってくれました。
まぁ、アラを探せばいろいろあるでしょうが、とにもかくにも、見事に完結させてくれました。

とはいえ、ちょっとだけ、紹介を。

舞台は、主人公のぶっさんが亡くなった3年後。
キャッツの面々は、それぞれバラバラに人生を歩んでいます。
で、市役所の職員になって木更津に残ったバンビの耳に、亡くなったぶっさんの声が聞こえます。
(なぜか、英語で)「あれを造れば、私は戻ってくる…」
で、ぶっさんが好きだろうと思うもの、ヘルスとかカレー屋とか作るけど、どうも違うらしい。
で、こりゃ映画フィールドオブドリームスだっていうことになって、野球場を造っちゃいます。
すると、そこにぶっさんではなく、アメリカ人の野球選手のゾンビが大量発生。
何故か自衛隊を脱走してきたうっちーも登場、大騒ぎ…。
うーん。文字にすると巧く伝えられないですねぇ。そこがクドカン脚本のすごいところなのでしょう
けど、ね。

いいなぁ。木更津キャッツアイ。
わかる方、是非、観たほうがいいですよ。


フィリップ賛。 [映画]

大好きなフランスの俳優、フィリップ・ノワレさんが亡くなりました。

【訃報:フィリップ・ノワレ氏76歳=フランスの俳優】
映画「ニュー・シネマ・パラダイス」の映写技師役などで知られ、フランス映画の最高賞である
セザール賞の主演男優賞を2度にわたって受賞したフランスの男優、フィリップ・ノワレさんが
23日、死去した。76歳。代理人の話としてフランス公共ラジオなどが伝えた。フランスのテレビ
は死因をがんと報じた。
ルイ・マル監督の「地下鉄のザジ」(60年)で名を知られるようになり、以後、喜劇からシリアスな
作品まで100本以上の映画に出演。幅広い役柄を演じた。
75年の「追想」で最初のセザール賞を獲得。89年の「素顔の貴婦人」で2度目の受賞。日本でも
大ヒットした「ニュー・シネマ・パラダイス」(88年)では年老いた映写技師のアルフレード役を演じ
た。他の代表作に「イル・ポスティーノ」(94年)など。(共同)

…合掌。

大好き、といっても、観たことがあるのは「ニュー・シネマ・パラダイス」と「イル・ポスティーノ」くらい。
でも、この彼の代表作の2作品の印象がとにかく強いのですよ。
ニュー・シネマ・パラダイスの、あの老映写技師。
イル・ポスティーノの亡命した詩人。
どちらも、いろんな人生を背負って、含蓄のある言葉を紡ぎ出します。
巧いなぁ。この人が出ているだけで、世界が作られていきます。ほんと、良い俳優さんでした。

で、イル・ポスティーノは、その作品内容も気になったのですが、彼が出ているから観てみようって
思ったのでした。結果、大当たりでしたけど、ね。
きっと、脚本を読んで、これなら、と思って出演されたのでしょう。
だから、この人が出ているならきっと良いんだろうなって思って、観客も観るんです。きっと。

で、この訃報を目にした後、ふと考えました。日本に、そういう役者って誰がいるんだろう?
その人が出ているだけで、その映画を思わず観たくなる役者…。

昔だったら、笠智衆さんや原節子さんなんかが、そうだったんでしょうね。
では、今ならば、誰か。

個人的な意見ですが、私は山崎努さんと松たか子さんが、そうですね。

山崎さんは、とにかく個性的で、どんな役を演じても自分を表現しています。
例えば、話題になった映画「GO」でも、主演の窪塚さんを完全に「食って」いますもんね。
あの存在感は、本当に素晴らしいと思います。彼が出ているなら、映画だってドラマだって、観て
みようかな、という気になりますね。

松さんは、とにかく雰囲気を作れる役者さんだと思います。
先日放送されたドラマ「HERO」の特別版も、最後にちょっとだけ登場しましたが、出てきてほんの
数秒で、もう"松ワールド"真っ只中。雰囲気がガラリと変わります。これ、他の役者にはない能力
ですね。持って生まれたものかもしれませんが、私はとても魅力を感じています。
まぁ、今放送されているドラマは、藤田まことさんの役柄が合っていなくて苦労されていますけど。

と、そんなことを、フィリップ・ノワレさんの訃報に接して考えていました。

さて、ニュー・シネマ・パラダイスでも観てみましょうかね。また泣くんだろうなぁ…。


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