SSブログ

題名のない子守唄。 [映画]

雑誌「danchu」が出した『全部うまい店』というグルメ本を買いました。
取材してとりあげた、全国の美味い店が載っています。
なかなか、こだわりがあって面白い。
東京のラーメン屋で鶯谷の「遊」が載っていたり、九州の焼きそば屋で「想夫恋」が載っていたり。
なかなか、面白いです。

と、それはさておき。
今日も映画ネタです。

見逃しそうになっていた「題名のない子守唄」を観て参りました。
平日の夕方、帰り際に某上司に嫌味を言われながらも脱出、急いでシネスイッチ銀座へ。
銀座一丁目駅で降りて、松屋の裏のスタバでコーヒー買って、5分前に着席。完璧です。

で、その映画。

トルナトーレ監督の作風、がらっと変わりました。
前作「マレーナ」でもちょっと変化気味でしたが、それから6年、もう「ニューシネマパラダイス」
の面影はありません。
冒頭から、なにやら怪しげな秘密クラブのような、淫靡な場面が映し出されます。
そして、イタリアの街。サスペンス映画のように、どんどん謎かけのストーリーが展開していき
ます。
細かなストーリーの説明はない、とにかく話が進んでいく。
何故、主人公(らしき)女性はこの街へ来たのか?何故、とあるマンションの一室を覗ける
部屋を借りたのか、そしてそこに住む家族に近づこうとするのか…。
途中、フラッシュバックのように、彼女の過去らしき映像が流れます。
それは、きっと消し去りたい過去なんだろうな、と思わせるもの。
でも、その説明もありません。
そのうち、その家庭にお手伝いとして入りこみ、その子どもに特別の愛情を注ぎ…。

映画の冒頭、トルナトーレ監督の「最後にどんでん返しを用意しているので、結末を観ていない
人に話さないでください」というメッセージが流れます。
なので、あまり細かなことは書きませんが、とにかく切ない映画。
女性が観たら、私なんかとは全然違った印象を持つんだろうなぁ。ショッキングな話でもあるし。
あのトルナトーレ監督が作った映画なのに、青空がワンカットもないというのが、全てを物語って
いるように思います。どんより曇った、冬の空ばかり。
そして、象徴的に使われる螺旋階段。まるで、彼女の抜け出せない人生のよう。

でも、そこはトルナトーレ監督。最後は…。

観終わって、なんともいえない切なさと、そして、救いというか小さな希望を感じる映画です。

主人公のイレーナは、ウクライナ出身でイタリアへ移民としてやってきた女性ですが、これを演じ
ているのは、設定と同じくロシアはサンクトペテルブルク生まれの女優・クセニア=ラパポルト。

ほんと、この女優でなければこの映画は成立しなかったのでは?と思うほど、見事な演技です。
素晴らしい。あの緊張感、すごかったなぁ。
あ、オーディションで選ばれたという子役も良かったです。

そして、なにより良いのは、やはりモリコーネの音楽。
映画の構想段階から監督のトルナトーレと一緒になって作るらしく、もう、それは見事なもの。
イレーナが子どもに歌って聞かせる故郷の子守唄、これもオリジナルで作ったそうで、この
曲をモチーフにしたテーマ音楽も素敵です。サントラ、買わなきゃ。

トルナトーレ監督は、すでに次回作の準備に入っているとか。
モリコーネもかなりの高齢ですし、このコンビで早くたくさん作ってくれ、と願うばかりです。
(縁起でもないか)

ところで、トルナトーレ監督はヒッチコックの真似して、必ずどこかに出演しているらしいの
ですが、今回はどこに出ていたんだろうなぁ。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

4分間のピアニスト。ラグビー。 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。